教科「情報」は必修であるべきだ

教育家庭新聞のウェブサイトに,「教科「情報」を選択教科に 全国高等学校長協会が文科省に要望書」なる記事が出たのが4月13日のことです.学習指導要領の改訂にあわせての動きですが,昨年度の未履修問題の一件を踏まえれば,それは「情報はやりたいところだけがやればいい」という意思表示なのだろうと解釈しています.

しかし,これからの国家を支える基盤を情報技術に求め,小学校段階から教育に力を注ぎ,今や世界を舞台に情報技術者が活躍して急成長を遂げていると いう国があるのに,いいのですか?資源に乏しい我が国においても情報技術で国を支える,もしくは情報技術を活用して自分の専門の仕事を進めるという考えは あってもいいと思うんですけれども,その土台を「やりたいところだけ」にしてしまっては,いずれ国際競争力ガタ落ちになっちゃうんじゃないですか?

ネット上で,詐欺にあったり,誹謗中傷を受けたり,誘われて実際に出会った先でさまざまな被害にあう世の中で,こども達を守る,もしくは自分を守る手だてを与える教育は,「やりたいところだけやる」性質のものですか?

そして何よりも,主体的に問題を発見し解決できる力を養う教育は「やりたいところだけやる」でいいのですか?社会で求められている力に問題解決能力 やコミュニケーション能力がありますね,これらのことについて高校段階から教育することによって「これからの社会」を作っていくのではないのですか?

教科「情報」は,これからの社会を担う若者に必要なリテラシーや知識を与えるための教科です.そのような意味では大学受験のように目に見えての即効 性はありませんが,社会の要請に応えるという意味では,欠かすことができない教科です.国の未来をつくるのが教育だとしたら,現在の,そしてこれからの社 会にとって必要な教育はむしろ推進するべきです.

ですから,教科「情報」については前向きに見直すべきなのではないかと思っています.

  • 教科「情報」は継続して必修にするのは当たり前である
  • 各自治体は,情報科教員をもっともっともっと採用するべき(高い専門性をもった人材は既に大学で養成されているが,採用されないという妙な現状)
  • 情報科教員の専門性を高めるための研修を積極的に実施するべき(教員がもっと勉強しないと教育は良くならない.その後押しを国を挙げてやるべきだ)
  • 学習指導要領の改訂にあたっては現行の教科「情報」で扱う内容にもっとメリハリをつけ,「やりたいところは」必修科目+選択科目で幅広い知識を身 につけられるよう工夫するべき(普通教科のA,B,Cは,結局3単位ぐらいの時間を確保してAの内容を濃くすれば全部網羅できるので,AのあとにBまたは C,という気分になかなかなれない)
  • その他細かいことを言い始めたらきりがないのでやめとく.

なーんでそんなことを今頃書いているのかというと,n_shimizuさんのブログにて,教科「情報」の必要性について5月22日,参議院・文教科学委員会にて民主党・鈴木寛議員(3月の都高情研研究大会でもご講演されていました)が意見を述べたということを知ってビデオを見ているうちに私なりの意見を述べようかな,と思った次第.

議員のお話は,教員の人員確保についてともかく教員の数が足りない,という話に関連して教科「情報」の必要性についても触れられているような流れ.映像は,ビデオの1時間44分~50分までの6分間程度のところです.

  • 人材不足で未履修などということはあり得ない
  • IT教育は我が国でも必要だ
  • 最近の事件,いじめ問題にはインターネットが関係しているものが目立つ

などとして,高校における教科「情報」は必要だというご意見.現場で情報を教えている教員にとっては心強い限りですが,政治の動きはそれとして,現 場の教員も「必修だからやらなきゃいけない」ではなく,「必要とされている教育だからやるんだ」という意識をもちつつ授業作りをしないといけないよね,な んてことを思います.

教科「情報」が選択になってしまったら,おそらく進学校を中心にして「情報」を設置しない学校が増えるでしょう.でも,それはとてももったいないこ とです.これからの社会を担う若者に何を伝え身につけてもらうか.その教育を大学等に丸投げすることになります.すると,ひょっとしたら,就職したときの 企業研修で初めて聞きました,ということになるかもしれません.もったいないことですね.それぞれの年齢層,発達段階に合った情報教育が展開され続けるこ とを願ってやみません.

このエントリには,「情報科雑感」さんからTBをいただきました.ありがとうございます.

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