光ファイバで音声を送る演示

インターネットは,全地球的に広がっているコンピュータネットワークである.例えば,日本とアメリカは太平洋に光ケーブルを渡して通信をしている.

教科書にもたぶんそのような文章があるし,「光ファイバ」などということで写真が掲載されているので,話としては知っている.けれど,光ファイバを見たことは?光ファイバでデータを送ってみたことは?恥ずかしながら,筆者は経験が無かった.ということで,話のついでにちょっとの時間を使って,「そういうものか」と感じてもらえる程度の演示をしてみた.

演示で使用した道具たちと演示の概要

2006年の夏,ふと見たエレキットのダイレクトメイルがきっかけで,このようなキットが数量限定で販売されていたことを知り,興味があったので購入してみた(2007年8月12日現在,在庫わずかではあるが販売は継続している).キットの概要は,CDラジカセなどから出力されたアナログを光信号に変換,光ファイバを使って信号を伝送し,信号の受け取り側につけられているスピーカで音を再生する,というものである.

届いたキットをそのまま組み立てると,

hikarikit.JPG

このようになる.厚紙にアルミ箔で回路を作り,電子部品をホチキスでとめて完成させるという手軽さである.図はCDプレイヤーと接続すつ回路.CDからの音楽が光信号になっている様子は,発光しているLEDの様子からうかがうことができる.信号を受信してスピーカで音を出力する回路も同様の方法で作成する.

ただし,これでは保存期間が長くなるにつれて基盤として使っている紙が反ってしまい,電子部品との接触も悪くなってくる.そこで,ホチキスで止めていた電子部品をユニバーサル基盤にはんだ付けするなどした.

hikari_oto_uni.jpg

これで,基盤が反ることはなくなっただろうし,はんだ付けがうまくできていれば,ある程度は接触の問題も改善されるだろう.授業では,これと三菱レイヨン製の光ファイバ「エスカ」(直径1mm,30m)を用いて

教室の前から後まで(約5m)光ファイバを通し,音楽を鳴らす

ことにチャレンジした.

いざ,演示!

まず,光信号を生成する回路と光信号を受信する回路をともに教卓のOHCで投影した.そして,CDプレイヤーからの音楽が光ファイバを伝ってスピーカから再生されるしくみを全体で確認した.

次に,光信号を受信してスピーカから音を出す回路を教室の後ろに設置,教卓と教室の後ろまでを光ファイバを通した.光ファイバが回路から外れるかもしれないので,近くの生徒に協力してもらい,光ファイバを持っててもらった.

教卓から音楽を流し,光ファイバを回路にセットしたら,ボリュームは小さいが,音が流れてきた.

生徒の反応

「光ファイバが曲がっているのに,音楽がちゃんと伝わっている!」という発言がみられた.また,「光が通っているはずなのに,見えない!なんで?」という発言もみられた.これらの発言をきっかけに,光ファイバの構造を解説したところ,「あ,全反射だ!」などという反応もみられた.理論を目で確認して学習に結びつけるという,科学的な授業展開ができたところは,思わぬ収穫であった.

また,音が小さいというところにも着目し,遠距離通信においてデータを減衰させないために実際はどのように工夫しているのかを簡単に説明,高度な技術のもとにわれわれはネットワークを便利に使えていることを確認することができた.

生徒の中には,光ファイバを折り曲げる者も居た.どのような状況でもデータは到達するか,どのようにしたらデータは到達しないのかを確認していたのだと思われるが,多少なりとも興味を引き付けることができたのであれば,良い反応といえる.

時数も限られているが,できる限り演示や実習を取り入れてボトムアップで理解に到達できる授業展開を取り入れたい.